生きてるだけで尊い『ブルース』桜木紫乃の世界

秋の読書
桜木紫乃さんの小説の魅力にせまります

 桜木紫乃さんについて

桜木志乃さんは 北海道釧路生れ
1965年4.月19日生まれ
夫、子供2人

床屋を営んでいたが、ラブホテルを経営し始めた
父親をモデルにした、『ホテルローヤル』
映画化され有名になりました。

最近は父親の破天荒な人生をモデルにした
『人生劇場』を出版なさっています。

サイン会のトークで『人間て可愛いね』と仰っているので、
人間愛をテーマにされた作品が多いのに納得しました。

北海道放送の動画より

破天荒な父をモデルに新作小説 直木賞作家・桜木紫乃さんが故郷・釧路で出版記念イベント

読書会などで
本の良さを共有しにくいのが、
寂しくもある作品。 だけど、

人間に深く根ざした、避けて通れない
問題だから共感せざるを得ない。
悲しささえ、可愛らしさに変えて描く
桜木さんの作品が好きです。

  『ブルース』

最初は刺激が強くて、
「なんだコリャ?エロ小説か?子供に奨めれないな」
が感想。

読み進めて行くと、
不遇な親の元に生まれ、
生きていくために、 
性を売ることしか
知らなった男の子が
闇の帝王に成長していく話。

NHKの大河ドラマ「べらぼう」を
友達が見るのを嫌がるのは
吉原が舞台だから。
身体を売ることに
抵抗があるのは
男も女も、誰だって
恥ずかしいし情けないに決まっている。

そうしないと生きていけないのは
親のせいだったり、不遇な運命や
恵まれない人間関係に翻弄されたから。

有名じゃなくても、偉業を残さなくても、
不遇な環境に身を置いた
人間が真っ当に生きた。

腐らず、人間らしい心も
捨てなかった。
生きているだけで尊い
とはまさに、この事だと思う。

桜木さんの本を読むと、
出てくる登場人物が好きになり
忘れられない人になる。いや
忘れたくない人になるんです。

私が読んだ本は、
切なくて、悲しくて、でも
喜びや救いもあった人生物語。

  ホテルローヤル

映画になった、『ホテルローヤル』は短編小説集。
桜木さんの世界観が、わかる。
各章違う話で、深追いはないけれど
人々が置かれた環境や背景がちゃんとわかる。
ここでハマるか、やめるかの踏み絵。

  起終点駅 ターミナル

『起終点駅』は厄介な事件に
巻き込まれ、自分のダメダメ過去と
対峙する老人の話。
『わけわからない』と評する人が
多いけど、若い女に翻弄されながら
事件の真相に迫る愛すべき老人だった。
もう一度会いたい。

おすすめは、「ラブレス」「ブルース」
 「起終点駅 ターミナル」
「おれの師匠とブルーボーイとストリパー」
好き嫌いが、はっきり出る作品ですね。